学芸員なら誰でも知っている悩みです。作品には長く興味深い物語があるのに、横のキャプションに載せられるのは作品名、年代、素材、そして2文ほど。来館者の言語はさまざまで、大きな文字が必要な人も、読むより聞きたい人もいて、すべてを知りたい人も少しいます。

キャプションの横にQRコードを置けば、壁はすっきりしたまま、追加の情報は来館者のスマートフォンに載せられます。国立の博物館でも、2部屋の地域のギャラリーでも、歴史的な邸宅でも、屋外の散策路でも使えます。

コードの先に置くもの

各コードは1つのWebページを開きます。リンク先に向いているもの:

  • 詳しい解説:作品の物語、作者、発見された場所など。
  • 翻訳:来館者が話す言語で同じ文章を。英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語など、ページの上部に言語の切り替えを付けます。
  • 音声ガイド:そのポイントの短い録音を、ブラウザで再生できるように。来館者は自分のイヤホンを使います。
  • 動画:修復作業の様子、作品が実際に使われる場面、作家へのインタビュー。
  • 順路や地図:次の展示、テーマ別の見学ルート、カフェやお手洗いへの道順。
  • アクセシブルな版:大きな文字の版、やさしい日本語の版、音声の文字起こし、動画の字幕。
  • 寄付や会員のページ:来館を楽しんだばかりの人が通る、出口やミュージアムショップの近くに。
  • 来館者用Wi-Fi:厚い壁や地下では電波が弱いことがよくあります。入口にWiFi QRコードを置けば、来館者はパスワードを入力せずに別のゲスト用ネットワークに接続できます。

各コードはQRコード作成で作れます。無料で、登録は不要、コードに有効期限はありません。

大切な情報をスキャン頼みにしない

誰もがスマートフォンを持っているわけではなく、充電やデータ通信が残っているとも、展示室で使いたいとも限りません。印刷したキャプションは、それだけで成り立つ必要があります。作品が何で、誰がいつ作り、なぜ重要なのか。注意事項、開館時間、順路、バリアフリーの情報も、紙や壁に載せてください。

コードは理解を深めるためのものです。展示室を理解する唯一の手段にしてはいけません。

自分で管理するページにリンクする

展覧会は入れ替わり、Webサイトは作り直されますが、印刷したキャプションや彫り込んだ散策路の標柱は何年も残ります。印刷したコードは編集できないので、ファイル共有のリンクや、いつか使わなくなるかもしれない音声配信サービスではなく、yourmuseum.jp/stop/12 のような自館サイトの安定したアドレスにリンクしてください。

シンプルな方法がうまくいきます。展示ポイントごとに1ページ、キャプションと同じ番号を付けます。解説が変わったり翻訳が加わったりしたらページを更新し、キャプションはそのまま。展覧会が終わっても、お知らせと現在の展示へのリンクを付けてページを残しましょう。来館者はキャプションを写真に撮って、後で読み取ることがあるからです。

配置、照明、ガラス

  • 目の高さ、キャプションの横に。 すべてのキャプションで同じ位置、たとえば右下に置けば、来館者はどこを見ればいいか覚えます。低い台の上に置いて、かがませるのは避けましょう。
  • アイコンと文言を統一する。 音声ガイドのポイントにはイヤホンのアイコンと「詳しくはこちら」など、同じ小さな記号と言葉を全体で使います。さらに良いのは、中身をはっきり書くことです。「音声で聞く(2分)」「English」「大きな文字」。
  • 照明に注意する。 展示室の照明は暗めで、作品に向けて角度が付いていることが多いものです。濃い影の中や、スポットライトが強く当たる場所のコードは読み取れないことがあります。開館中と同じ照明で、その部屋でテストしてください。
  • ガラスと光沢を避ける。 展示ケースのガラス越しや光沢のあるラミネートのコードは、反射を拾います。コードはケースの外側に、マットなラベルで置きましょう。
  • 周りに余白を残す。 コードの小さな四角4つ分以上の幅を。

遺跡の近くの木製の標柱にあるQRコードを、イヤホンをした散策者が読み取っている

見る距離に合わせたサイズ

印刷ガイドの目安は、コードの幅を読み取り距離の約10分の1にし、2 cmより小さくしないことです。

場所一般的な距離コードの幅
作品のキャプション30〜50 cm3〜5 cm
章の解説パネル1〜1.5 m10〜15 cm
入口やWi-Fiの案内1.5〜2 m15〜20 cm
屋外の散策路の標柱50 cm〜1 m5〜10 cm

短くすっきりしたアドレスはコードをシンプルにし、小さなサイズでも読み取りやすくなります。ラベルプリンターや看板業者には、コードが鮮明なままのSVGをダウンロードして渡してください。

小さなギャラリー、史跡、屋外の散策路

アプリも予算もなくてかまいません。小さなギャラリーなら、事務所のプリンターで今あるキャプションにコードを印刷できます。歴史的な邸宅なら、部屋ごとにコードを1つ、ラミネートした部屋の解説シートか、できればマットなカードに入れましょう。

屋外では、コードが風雨に耐えなければなりません。彫刻または印刷したアルミ板や、標柱に貼る耐候性(UVカット)のシートを使い、グラデーションのないシンプルな、明るい地に濃い色のコードを選びます。季節ごとに、色あせ、傷、上から貼られたシールがないか標柱を確認してください。郊外の史跡では電波が届かないことも多いので、ページは文字と小さな画像を中心に軽くし、音声や動画のファイルが大きいポイントではそのことを標柱に書いておきましょう。

チェックリスト

  • 自館サイトに展示ポイントごとのページ、キャプションと同じ番号
  • 印刷したキャプションはコードがなくても完結している
  • 必要に応じて翻訳、音声、動画、大きな文字ややさしい日本語の版
  • 電波が弱いなら入口にWiFi QRコード
  • すべてのキャプションで位置、アイコン、文言を統一
  • 目の高さ、まぶしさを避け、ガラスの外、マットな素材に
  • サイズは印刷ガイドから、2 cm未満にしない
  • 実際の展示室や散策路で、複数のスマートフォンを使ってすべてのコードをテスト